2012年7月31日火曜日

都会のど真ん中で、川遊び。

子どもの頃、「いつか東京の川でも水遊びができるようになったらいいのに」と、増水後にヘドロの溜まった新河岸川の親水公園の岸辺で思った。
今、その夢が叶う。

新宿区高田馬場2丁目。西武新宿線の走るそのすぐ下に、神田川親水テラスがある。
2年ほど前から、新宿区が夏季限定でここを開放している。

東京の都市河川は高度経済成長期に汚染が進み、多くの小河川が暗渠化された。
一時は、神田川や石神井川レベルの大きな川もすべて暗渠化される方策も打ち出されたほどだ。

この「臭いものには蓋を」から脱却し、水環境を整え、河川を再生する方向に流れが変わったのは昭和後期に入ってから。
その後、暗渠化した区間は緑道としたり、場所によっては暗渠を外すといった清流復活事業が行われていたりもする。
下水処理場も「水再生センター」といった名称となり、川の水質は近年大きく改善されてきている。

そこへ、新宿区の試みは、汚染や洪水を経てただの「水路」と化してしまった東京の都市河川に、「遊び場」としての役割を再び与えようとする、画期的なものだといえよう。


受付で記名して番号札を受け取り、親水テラスの階段を降りて、川の中に足を踏み入れる。上流は、JRの高架下あたりから川幅は狭くなっているが、立ち入り可能なエリアは幅も広くフラットで、水深も20 cm 程度と浅い。


水は想像以上にきれいで、においもほとんどしない。すぐ上流には落合水再生センターがあり、下水が高度処理され流されている。

下流を望む。このあたりの河床はコンクリートで固められていた。もう少し下流なら、自然の基盤岩も見られるかもしれない。

網の貸し出しも行われている。この日は落ち葉くらいしかすくえるものはなかったようだ。日によっては、ドジョウやエビがよくみられるという。

受付デスクには神田川に生息するスジエビも展示。

こどもから大人まで、だれでも歓迎。

電車から。向こう側の線路の下。まさかこんな都会のど真ん中で、神田川で、水遊びができるとは。

今年の開放は7/21から8/12まで。
天気によっては入れない時もあるが、それも仕方ないこと。上流のどこかで豪雨が起こると、神田川のような都市河川は急激に増水するので、特に注意しなければいけない。
なお、新宿区のスタッフが天気予報を常時チェックし、また何人もの監視員を配置して安全への配慮を注意深く行っているから、安心して利用できる。

東京の川はキタナい、というイメージがひっくり返る。
この体験を、ぜひ多くの人にしてもらいたい。